乳幼児の潜在性菌血症について
ここでは、乳幼児で熱が出たとき、一番気を付けないといけない病気を書きます。
乳幼児の熱のほとんどはカゼによるものです。
別ページでも説明していますが、カゼはウイルスによるもので、危険なものではありません。小さいうちに何度もカゼをひくことで、体を強くしてくれるわけです。
発熱を繰り返す子どももいますが、そういう子ほど、将来は強くなるのです。心配要りません。
しかし、小さい子で熱が出たとき、気をつけないといけない病気もあります。
その代表が潜在性菌血症です。単に菌血症でも構いません。
聞いたことない?これって割とポピュラーな病気なのですが、あまり有名でないので、ここで解説しておきます。
小さい子どもさんがカゼを引くと、鼻副鼻腔炎を起こします(右図C)。
鼻副鼻腔の白いところは、分泌物が溜まっているわけですが、ここは酸素が少なく、体温(37℃)で、栄養分もたっぷり。細菌が住み着くのに最適な環境なのです。
兄弟がいる子、保育所に行ってる子どもは下記のように肺炎球菌とヒブ菌が鼻に住んでいることが多いのです。これを保菌者と言います。
この状態から、風邪や中耳炎などがきっかけで菌血症が起こってきます。症状は突然の発熱です。
保菌者になると、菌血症は予測できませんので、高い熱が出ると注意しないといけません。
菌血症を疑う場合は、血液培養を採取してから抗生物質の点滴をします。ほとんどはこれで治ります。
※ワクチンが終了していて、全身状態が良ければ潜在性菌血症の疑いとして
内服だけのこともあります。お子さんへの負担を考えてのことです。
菌血症は自然に治ることも多いのですが、一部は血液の中から体中の様々な場所に入り込み、髄膜炎、肺炎や、急性喉頭蓋炎という恐い病気を続発することもあり注意が必要です。
こういった菌血症を防ぐためにも、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンをできるだけ早く接種するようにして下さい。