※インフルワクチンだけは微妙です。その理由はこちらへ
当院を受診されるお子さんのほとんどは必要なワクチンを受けておられると思いますが、数ヶ月に1人はワクチンをまったく受けません、という方が来られます。率にして1%、100人に1人くらいでしょうか?
実は全世界的にこういう現象が起こっています。欧州でもワクチンの接種率が下がって、麻しんが流行しています。米国でもそうです。
ワクチンは危ないって本も販売されてるし、お母さん方にとって何が正しいか分からないでしょう。ここで分かりやすく解説します。
まず、今あるワクチンが効くかどうか?安全かどうか?ですが、,
当院で接種しているワクチンは全て効果が高く、安全性も極めて高いものです。それはご安心下さい。
今は世界中でほぼ同じワクチンが接種されています。日本より積極的な国の方が多いですね。人口によりますが、ワクチンを導入するのには何百憶ものお金がかかります。どこの国も財政はひっ迫してます。無駄なお金は使いたくない。あるワクチンが効果があるかどうかは徹底的に調べられます。効果のないワクチンが導入されることはありません。また、接種開始後に副作用がある、ってことが判明すると、あっという間にストップされます。その厳密さは、他の薬剤や食物よりはるかに厳しいものです。
ところで、これを読んでるお母さん、お父さんはサプリとか飲まれます?
サプリってぜんぜん安全じゃないですよ。厳密な臨床試験もしてないし、安全性も確認されていない。実はワクチンよりサプリを飲む方がはるかに危険です。
詳しくはこの本
人が生きている限り、飲食しないといけません。皮膚からは虫の毒や様々な異物、気道からも多くの物質が人体に入ってきます。それぞれのリスクがありますが、ワクチンはその中でもっとも安全な物質のひとつだと考えてください。重篤な副反応のリスクで言えば、パンやお米以下でしょうね。虫毒の方がはるかに危ないと思います。パン食ってひどいアレルギー起こしたとか、もち食って窒息したって例は数えきれないほどありますし、世界中で蚊に刺されて死んでいる人は何十万人もいます。 ここ
意外と意識されませんが、赤ちゃんは一定の割合で亡くなります。
乳児の死因を見ると、1位 先天奇形、2位 呼吸障害(主に未熟児の子)、3位 突然死、となります。ここまではほぼ防ぐことはできませんが、4位は事故ですから、気を付けて下さいね。事故の中で多いのは窒息です。毎年10名くらいの赤ちゃんが食物を詰めて亡くなってます。
この死因の統計にはワクチンのワの字も出てきません。毎年産まれた赤ちゃんのほとんど全員が多数のワクチンを接種しているにも関わらず、現代では明らかにワクチンに関係する死亡事例はごく特殊な例を除きありません。
※もっとも危険なのはアナフィラキシーショックで100万接種に1回です。これはちゃんとした医療機関で受けると対処可能です。
ところで、乳児の死因を見て、何となく違和感ありませんか?皆さん怖い病気と思っている髄膜炎とか肺炎などの感染症が入ってないでしょう。というのはワクチンを接種するから、そういう悪い感染症が無くなっちゃったんです。ワクチンって目に見える効果はないけど、ものすごいものなんです。
以上がファクト(事実)です。ワクチンが危ないというのは誰かが考えた脅しのためのストーリーです。ストーリーを作る裏には様々な思惑があります。のせられてはダメですよ。子育てはファクトに基づいて行いましょう
ワクチン後の有害事象には予防接種後副反応疑い報告制度というものが適応されます。ものすごくたくさんの子どもや成人がワクチンを接種しますので、その後に何かあれば、とりあえずワクチンと因果関係があるのかもしれない、と報告されることになっています。例えば赤ちゃんの死因の3位は突然死でしょう。毎年100名前後の赤ちゃんがSIDS(乳幼児突然死症候群)で亡くなっています。ワクチン接種後にSIDSで亡くなっても因果関係は分からないわけです。
ここを誤ってワクチン接種後に亡くなった子がいるという報道がありましたが、詳細に検討されてワクチンのために亡くなったわけではないと結論が出ています。
実はSIDSは年々減り続けてるんです。
(厚労省HPから)
ワクチンが突然死に関係するなら、この数は増えていくはずです。このグラフを見ただけでワクチンとの因果関係は否定的です。実はSIDSの一部は感染症に関係することが分かっています。ワクチンの普及とともにSIDSで亡くなる赤ちゃんが減ることも期待されています。
実際、わたしもSIDSを何人か経験しました。昔は多かったのです。可哀想ですが防ぎようがありません。今はグッと減りました。
※SIDSの一部はウイルス感染症によるものです。ウイルスは遺伝子なので、成長後の様々な病気にも関与してきます。例えばロタワクチンをしていると1型糖尿病(小児期発症の重症糖尿病)のリスクを減らすことが分かってきました。ここ
ウイルスはただの風邪ではなく、遺伝子を持ち込むことで様々な病気の原因となっています。できるだけ予防してあげましょう。
ワクチンを接種しないって決めた人は、だいたいネットでややこしい情報を集めた方です。確かにワクチンを接種しないようにと言ってる連中がいますね。
近藤誠氏の本とか ここ
世界的に有名な人はウェイクフィールド氏です。 ここ
二人とも反ワクチンの大御所です。
そういう連中に影響されて予防接種を受けないでって言ってる医師もいます。たまーに妙なクリニックを受診して、ワクチン接種しない証明書をもらってる人もいますね。正直言って、そんなクリニックまともじゃないですよ。怪しい水を売ったり、血液を入れ替えてきれいにするってクリニックがあるじゃないですか。それと同じレベルです。そんなところに子どもを連れてくなんて、危ないにも程がある。
こういう連中は集まってややこしいカルト集団のようになってしまってますね。危険な新興宗教のようなものです。たとえ話すと優しい先生でも、こういう連中はインチキですよ。新興宗教の教祖も一見素晴らしい人に思えるので、たくさんの人を集めるでしょう。
わたし個人は反ワクチンのカルトを作ってる医師は、医師免許はく奪で良いと思っています。日本だとよほどのことがない限り医師免許って守られちゃいますので、とんでもないクリニックがたくさんあって困ります。なお、ウェイクフィールドは実際に英国で医師免許をはく奪されています。
わたしは反ワクチンのややこしいカルトが大嫌いです。彼らは医師で白衣を着ていても、社会にとっての悪魔とさえ言える連中です。たとえば彼らの根拠不明な主張で麻しんのワクチンを接種しない人が増えて、大規模な流行が起こったとします。麻しんにかかると一定の割合で亡くなる子どもがいます。流行は大規模なものだと何十万人になりますので、かなりの子どもが命を落とすことになります。これは現在欧州で起こっていることです。ここ 人殺しはたかだか数名殺すくらいですが、反ワクチンのカルトは、かなりの数の人を死に至らしめます。とくに危険なのは、小児科医が一生懸命に守らないといけない、障害のある子ども達なのです。
わたしが生まれた昭和40年は現在の10倍以上もの赤ちゃんが亡くなっていました。わたしは運よく生き延びただけです。江戸時代には赤ちゃんの半数は成人できなかったはずです。社会が様々な形で守ってあげないと、子どもは亡くなってしまうものなんです。だけど、今は日本の乳児死亡率は世界最低レベルです。そりゃ~、色んな病気になる子がいますけど、基本的には子どもは安全に、健康に育つことができるようになっているのです。安全だからこそ、“危ない!”って情報に目が行ってしまうでしょう。そういうのを利用しているのが彼らみたいな連中です。現代社会で子どもを育てる上でもっとも気を付けないといけないのは、こういった偽科学のカルトにはまらないことなのです。
お母さん、お父さんは色んな思想、信条を信じることになっても、それは個人の自由です。ですが、子どもがそういった非科学的な考えで育てられると、将来のリスクを子ども自身に背負わせることになってしまいます。
また、このカルトにはまっちゃったお母さんと話をすると、一種の洗脳状態になっているため、接種することが怖くて仕方ないのです。新興宗教にはまっちゃうと、抜け出すのは大変でしょ。何度も書きますが、ワクチンは安全です。当院で毎年何千ものワクチンを接種していますが、生命に関わるような重篤な副反応が出た子など皆無です。あるお母さんは接種を勧めると「怖い」と泣き出したことがありますが、洗脳の効果に愕然とします。普通にワクチンを接種しているお母さんは、接種後にもニコニコして、「これでまた強くなったね」って笑って帰っていかれます。ワクチン接種は子どもを強くし、成長させる喜びでもあるのです。子育てはとっても楽しいはずなのに、母親に無駄に不安感を抱かせ苦しめるようなことをする連中は許せないんですよ。
あるお母さんは、ワクチンを一切拒否されていましたが、子どもが1歳になる前に考えを変えてくれました。だけどそこからワクチン接種を開始すると年齢が過ぎちゃってるし、接種するのに高額な費用がかかります。肺炎球菌など、低年齢で接種した方が効果が高いワクチンも多い。子どもが大きくなってからのワクチンは、たくさん接種するので嫌な記憶も残りやすいし、アレルギーも起きやすい。子どもにとって良いことはひとつもありません。それでも接種は必要です。
なお、ワクチンを接種していなければ、進学にも差し支えますし、留学もできません。反ワクチン運動は、保護者への金銭的な負担になるだけでなく、子どもの可能性を奪ってしまうのです。
※今の診療技術なら乳児期からの様々な介入を行うことで、将来起こる病気のリスクを減らすことができます。ワクチンはそのための強力な武器です。実際、当院周辺のお子さんは食物アレルギーが少ないですね。お母さんもとっても明るい方が多い。赤ちゃんの将来を考えれば、かかりつけにするなら当院だな~、、って自画自賛(苦笑)。
わたしのこういった診療スタイルって子どもの将来のことを考えてのことなんです。将来の危ない病気になるリスクをできるだけ減らして、子どもさんが成長してできるだけ良い人生を送れるように応援するのが小児科医の役割だからです。それなのに、保護者自身が子どもの将来の負担を増やしてどうすんの?まったく馬鹿げた話です。
さて、そういう話ですが、長いけど最後まで読んだ方はいるのかな?
読んでやっぱり納得できない、ワクチンは接種しないって人は仕方がありません。はっきり書きますが、にしむら小児科には来院されないで下さい。全国でワクチンを拒否されているお子さんから、院内感染を引き起こして例が報告されています。当院は赤ちゃんがたくさん来るし、障害を持ってるお子さんが来院することも多いのです。さらに、横にある保育所ではワクチンがまだ接種できない赤ちゃんをたくさん預かっています。麻しん等の危ない病気が持ち込まれると、子どもたちを危険にさらすことになってしまうからです。
今からでもやっぱり接種したいってお母さん、大歓迎です。懇切丁寧にご教授します。ワクチンは原則として小さいうちに接種するほど副作用も少なく、効果も高いものです。〇〇歳まで待とうって思わず、できるだけ早く接種に来てください。なお、基本は複数のワクチンの同時接種です。それが子どもにとって最良の選択だからです。