ガイドラインの要約
疾患 1.診断基準 2.基本方針 3.抗菌薬治療
感冒 1. 鼻汁、鼻閉を主症状とする急性ウイルス性疾患。発熱の目安は38.5℃未満。明らかな咽頭発赤、咳が主症状となった場合は感冒から除外する。
2. 膿性鼻汁が続いても10~14日間は抗菌薬を処方しない。病状に変化が認められた場合はそれに該当する疾患の指針に従う。
3. 抗菌薬治療は行わない。
咽頭炎・扁桃炎 1. 咽頭痛と発熱を主症状とする。咽頭の発赤、扁桃の腫脹、発赤、時に滲出物を認める。
2. 迅速、あるいは培養検査で溶連菌感染が確認された場合のみ抗菌薬適応がある。
3. ベンジルペニシリンベンザチン(バイシリンG®)、3~5万U/kg/日(上限150万U)、あるいはフェネチシンカリウム(シンセペン錠®)、4~6万U/kg/日(上限200万U)、10日間。βラクタム剤にアレルギーがある場合はエリスロマイシン30~50mg/kg/日、10日間
急性中耳炎 1. ① 中耳に貯留液を認め、かつ急性感染の症状(耳痛、乳児では涕泣、不機嫌、耳を触るなど)あるいは急性感染の所見(鼓膜の明らかな発赤、強い膨隆、あるいは水疱形成)のうち1つ以上みられる場合。
② 急性の耳漏(鼓膜穿孔由来)が認められる場合。
2. ① 48~72時間は対症療法のみ。症状の改善がなければ抗菌薬投与も選択肢。
② 耳漏の場合、7日間は対症療法のみ。
発熱がある場合、フォーカス不明の発熱の基準による。
3. アモキシシリン60mg/kg/日の5日間。効果がなければ90mg/kg/日へ増量、あるいは抗菌薬の変更。抗菌薬の増量・変更後も、発熱や耳痛などの症状および鼓膜所見の改善がない場合、鼓膜切開と非経口抗菌薬の投与。外来での非経口抗菌薬はセフトリアキソン、1日1回、50mg/kgの点滴静注、1~3日間とする。 
急性副鼻腔炎 1. 上気道炎に伴って鼻閉、膿性鼻汁、後鼻漏を認める場合。
2. 上記の症状、所見が10~14日以上持続した場合(10 day mark)や顔面の腫脹や疼痛が発現した場合、あるいは高熱を伴って症状、所見が増悪したとき抗菌薬の適応を考慮。重症感がなければ対症療法で経過観察。
3.急性中耳炎の治療に準じる。
咳/気管支炎 1. 咳を主症状とする疾患で、発熱や痰、肺雑音を伴うこともある。胸部レ線写真で肺炎を疑わせる所見を認めない。
2. 基礎疾患のない場合は抗菌薬を使用しない。マイコプラズマ、クラミジアも気管支炎にとどまる限りは通常抗菌薬は不要。
3. 百日咳と診断されればエリスロマイシン30~50mg/kg.日を投与。
フォーカス不明の発熱 1. 発熱後48時間以内に受診し、症状や理学所見、迅速検査、尿検査などで原因を特定できない場合。
2. 全身状態が重篤であれば直ちに入院。重篤でない場合は外来で慎重に経過観察。
3. 下記の条件を満たす場合は血液培養施行後、セフトリアキソン50mg/kg1日1回の点滴静注、あるいはアモキシシリン60mg/kg/日の経口投与
①3~12ヵ月未満で体温40℃以上、あるいは38.5℃以上で白血球数が15,000/μl以上(あるいは好中球数10,000/μl以上)
②12~36ヵ月では体温39℃以上、かつ白血球数が15,000/μl以上(あるいは好中球数10,000/μl以上)


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