小児へのコロナワクチン接種について

2022年3月19日時点の情報です。

小児用のワクチンに関してはデマや恐怖を煽るような情報が多々出ていますので、現時点で分かっていること、どのくらいの効果があると予測されるかについてここで記載しておきます。

小児用のワクチンは成人用より少ない量になっており、副反応も成人に比べて軽く、接種後の抗体の上昇も良いようです。ただ、日本では子どもで新型コロナウイルス感染が重症化する例は少なく、死亡例もほとんど出ていません。お子さんにワクチンを接種すべきかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。

実は日本以外に目を向けると、かなりのお子さんが命を落としています。感染が広がった米国では1000人近くの子どもが亡くなっているようです。今後、日本でも感染が拡大していくと思われます。みんな風邪で済めば良いのですが、お子さんでも中には重症になったり死亡者は一定数出ると思います。それがどの程度のリスクかははっきり分かりません。だからこそ、接種を勧めるべきかどうかは悩ましいところです。

※死亡例や重症になる以外にも、感染して熱が出ればつらいですし、お子さんがコロナになれば仕事にも差し支えます。周囲へ感染が広がることもあるので、免疫はあった方が良いとは思います。

一方、ワクチンの接種リスクですが、多少痛いのは仕方ない。あきらめてください※。アナフィラキシーは過大に考えられていますが、医療機関で接種する限り問題になりません。ちゃんと対処できるからです。最大のリスクは心筋炎※※です。コロナワクチンを若年男性に接種すると軽い心筋炎を起こすことがあります。コロナに感染した場合よりもはるかに頻度は少なく、軽症なのですが、わざわざ子どものために接種して心筋炎起こしちゃったら嫌ですよね。

※3月5日から接種開始してますけど、ほとんど痛みはないみたいですね。接種量が少ないからか、成人の方が痛みを訴える人が多かったです。

※※心筋炎って怖そうに思えますが、ほとんどは軽い胸痛症状です。


なお、諸外国では子どもにも1千万回以上の接種が既に行われています。現時点までの情報では小児の接種で心筋炎の報告はありますが、頻度は少なく(100万接種に1例程度)、全て軽症のようです※。リスクとしては、接種しに来るまでの交通事故の方が高いと思います。チャイルドシートをお忘れなく!

※念のため接種後1週間は運動を控えるようにお願いしています。

現時点のほぼ確実な情報をまとめると

1,ワクチンを接種しておけば発症リスクが40-50%%程度下がります。 (インフルエンザワクチンよりは効く感じです。)元論文

2,重症化を防ぐ効果はより大きいと思われます。ただし、子どもが新型コロナに感染しても、重症化する率は高くはありません。かかっても治る、と考えるのであれば、それでも良いと思います。

3,ワクチンは危険だからと避ける必要はありません。重篤な副反応は他のワクチンと差がありません。

4,よくネットで騒がれますが、ワクチンで長期的な副反応の危険性はありません。むしろコロナウイルスに感染した方が、長期に渡る健康被害を起こすリスクがあります。ワクチンの遺伝子は体内で増えませんが、ウイルス遺伝子は体内で激しく増殖するからです。

※成人がコロナに感染すると血管炎を起こすので、治ったと思ってもその後の心疾患とか循環器系の病気が増えるようです。ここに詳しいデータがあります。またLong COVIDと呼ばれていますが、コロナ後の様々な神経症状も気になるところです。子どもでは少ないと思いますが、なんとなく気持ち悪いですよね。


にしむら小児科的結論ですが、このワクチンの有用性は、インフルエンザワクチンよりは高く、その他の定期接種ワクチン(ヒブとか麻しん風しんワクチン)よりは低い感じです。できるだけ子どもを病気にしたくない、コロナの合併症を可能な限り防ぎたいという方は接種されれば良いと思います。なお、インフルエンザと違って無料です。


PS
インフルワクチンって高いよね。大して効かんし、わざわざお金を払ってもらって申し訳ありません。

※30年以上前ですが、いい加減な調査からインフルワクチンは有害だって言われた時代があり、しかも裁判で国の責任になりました。そういう例があれば公的なお金を出せないわけです。科学に基づかない風評被害は未来の子どもたちへの負債になりますね。

インフルワクチンもある程度は効きますよ。ただ、毎年お金を出して接種するほどの価値があるかはちょっと疑問。お金に余裕のある家庭とか、感染リスクの高い方だけ接種してください。


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