乾燥肌のお子さんへ グリセリン水の使い方


当院で処方しているグリセリン水は,グリセリンを精製水で5倍に薄めたものです.
グリセリンも精製水もネットで購入できるので,自宅でも作ることができます.

 現代の子ども達の肌は非常に乾燥しています.これは赤ちゃんの頃から石けんで何度も体が洗われてしまうことが関係しています.皮膚の潤いは善玉細菌(主に表皮ブドウ球菌)によって作られます.表皮ブドウ球菌は,赤ちゃんのときに周囲の大人からうつってきて,皮膚に定着し,ずっと住み続けることになります.実はこういった細菌は,皮膚の上で汗や皮脂などを分解してグリセリンを作ります.グリセリンは保水力が高く,皮膚を乾燥から守る役割があります.皮膚は体を守る最大の防御組織です.ヒトは細菌と共生することで,自分自身を守るように進化してきたわけです.

 善玉細菌は幼少児から皮膚に付くことで定着します.少し難しいですが,免疫寛容と呼ぶ機構が働くからです.免疫は,幼少児からずっと持っている細菌ほど“体の一部”だと判断して攻撃しなくなります.赤ちゃんの間に “必要な細菌”を持つことは非常に大切です.

 乾燥肌の最大の原因は,皮膚に定着している細菌が減少したことによって,グリセリンが作られにくくなったことです.ですので,当院ではグリセリン水を塗布し人工的にグリセリンを補給してあげることを勧めています.グリセリンはもともと体に必要なものですから,非常に安全で,かつ安価ですし,皮膚で善玉細菌が増えやすい環境を作ることもできます.

 写真の100円ショップで買える霧吹きのスプレーを使って,お子さんの皮膚に1日2回から4回程度噴霧してあげて下さい.多少なら口や目に入っても害はありません.
※目に入ると浸透圧の関係で痛いのでなるべく入らないようにしてあげてください.

 グリセリン水は防腐剤を入れてないので,稀にカビが生えます.保存は冷蔵庫で御願いします.スプレーで使う分は室温で構いません.白っぽく濁れば,その分は廃棄して下さい.




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